【緊急取材】軽貨物配送の「ラストワンマイル」が抱える暗部――ドライバーへの独自取材で判明した実態と過酷な裏側
取材時期:2026年8月下旬
取材:OM編集部
1. 閉ざされた門戸と「極秘ルート」での独自取材
編集部では今回、実態が見えにくい軽貨物運送業界の真実に迫るべく、運送会社3社へ電話取材の申込みを実施した。しかし、返ってくる回答は以下のようなものばかりであった。
「代表が不在にしている」
「担当者が席を外している」
「事務員なので詳しい条件等は分かりかねる」
事実上の「取材拒否」が続く中、編集部ではコネクションを駆使して取引案件・現場のルートを独自調査。各社で実際に稼働している現役ドライバーA・B・C氏(仮称)へ直接インタビューを実施することに成功した。
ヒアリング対象とした主な項目は以下の5点である。
ロイヤリティ(手数料率)
車両リース代・保険料
配送条件(1個単価/日給)
支払サイト(締め日・支払い日)
実際の稼働状況と経費(手取り感)
2. 軽貨物運送会社3社の比較とドライバーの現実
取材により明らかになった3社(A社・B社・C社)の条件と、現場ドライバーの実態は以下の通りである。
A社・B社・C社の比較一覧
| 項目 | A社(規模: 約20名) | B社(規模: 約50名) | C社(規模: 約60名) |
| ロイヤリティ | 20% + 事務手数料 月1万円 | 18% のみ | 15% + 事務手数料 月2万円 |
| 手数料の内訳理解 | ドライバー側は把握・理解せず | — | ドライバー側は把握・理解せず |
| 車両固定費 | リース: 45,000円 保険: 30,000円 (計 75,000円/月) | リース: 40,000円 保険: 30,000円 (計 70,000円/月) | リース: 40,000円 保険: 30,000円 (計 70,000円/月) |
| 単価 / 日給 | 宅配: 160円(税込) 日給: 17,000円 | 宅配: 150円(税込) 日給: 16,000円 | 宅配: 160円(税込) 日給: 18,000円 |
| 支払サイト | 60日(月末締め翌々月末) | 60日(月末締め翌々月末) | 45日(月末締め翌々15日) |
各ドライバーのリアルな収支シミュレーション
Dドライバー(A社所属)
稼働スタイル:月平均20日(個数立て配送メイン、日給案件なし)
配送実績:1日平均120個
売上(概算):120個 × 160円 × 20日 = 384,000円
控除額・経費:
ロイヤリティ(20%): 76,800円
事務手数料: 10,000円
車両+保険: 75,000円
ガソリン代: 40,000円
差引手取り額(概算):約 182,200円
1か月間しっかりと20日稼働しても、高額なロイヤリティと不明瞭な手数料、車両費に圧迫され、手元に残るのは18万円台前半という厳しい現実がある。
Eドライバー(B社所属)
稼働スタイル:月20日配送 + 土日8日間は別案件(日給)
配送実績:1日平均130個(宅配)
売上(概算):
宅配: 130個 × 150円 × 20日 = 390,000円
日給案件(8日分): 16,000円 × 8日 = 128,000円
売上合計: 518,000円
控除額・経費:
ロイヤリティ(18%): 約93,240円
車両+保険: 70,000円
ガソリン代: 55,000円
差引手取り額(概算):約 299,760円
ほぼ休みなしの月28日稼働を行うことで、ようやく手取り30万円近くに到達する状態。単価150円の低さがネックとなっている。
Fドライバー(C社所属)
稼働スタイル:月平均20日
配送実績:1日平均150個
売上(概算):150個 × 160円 × 20日 = 480,000円
控除額・経費:
ロイヤリティ(15%): 72,000円
事務手数料: 20,000円
車両+保険: 70,000円
ガソリン代: 45,000円
差引手取り額(概算):約 273,000円
月150個という高い配達効率を誇りながらも、名目のわからない「事務手数料20,000円」などの控除が重くのしかかっている。
3. 口を揃えるドライバーたち――口封じと「かんぐり」の真相
取材の際、協力してくれたドライバーたちが共通して発した言葉がある。
「絶対に自分が話したと会社に言わないでほしい」
「あまり単価や金の話を外でしゃべるなと厳しく釘を刺されている」
「元請けから契約を切られるぞ、切られたらお前の責任問題だと言われている」
ドライバーたちが異口同音に訴える「元請けからの圧力」だが、実際のところ元請け企業から直接そのような指示が出ている事実は見受けられない。
この口封じの真相は、所属している運送代理店(中間業者)側の恐怖心にある。 他社のロイヤリティや単価、条件と比較されることで、ドライバーが「より条件の良い他社へ転籍する」ことや「嫌気がさして離職する」ことを極度に恐れているのだ。自社の利益率(中間マージン)を守るため、「元請け」の名前を口実に使って脅し、口封じを図っているのが実態である。
4. 編集部の視点:ラストワンマイル崩壊の危機
「自由に働いてしっかり稼げる」というキャッチコピーでドライバーを集める軽貨物業界だが、現実は「楽しく稼げる仕事」とは程遠い構造になっている。
不明瞭な控除:ドライバーが内容を把握していない「事務手数料」などの不透明な引かれ物。
長すぎる支払サイト:締め日から現金化まで45日〜60日かかり、資金繰りを圧迫。
過剰な中間マージン:15%〜20%のロイヤリティに加え、高額な車両リース代や任意保険料の徴収。
現状のまま適切な法規制や透明性の確保がなされない場合、現場を支えるラストワンマイルのドライバーそのものが業界から激減していくことは避けられない。これは単なる「運送業界の人手不足」という言葉で片付けられる問題ではなく、日本の物流基盤そのものが破綻しかねない深刻な危機である。

コメント
コメントを投稿